FDDが復活したPC-9821
*今回のネタは、以前の記事でジャンクで買ったPC-9821(以下98)のFDDの故障が発覚し修理完了した記事の続きです。
↓以前の記事はこちら
以前、無事FDDの修理が完了した98ですが、今回は購入時に欠品していたハードディスク(以下HDD)を新たに取り付けしていきたいと思います。
98で使えるHDD
さて、基礎知識ですが98のようなレトロパソコンになりますと使用できるHDDにもいろいろと制限があります。
まずは接続の規格。
この頃は現在のようなSATAという規格はまだ存在していませんのでIDE(ATAPI)と呼ばれる規格のHDDが必要です。
SATA規格とはケーブルや端子の形状も物理的に違うのでそのままでは使えません。
(↑参考:写真はPSのネットワークアダプタに取り付けられたIDE HDD)
PS2でネットワークアダプタを使用する際に取り付けられているHDDもIDE規格のものでしたね。
次に使用できる最大容量。
98はモデルによって本体のBIOSの制限で使用できるHDDの最大容量が決まっています。(いわゆる容量の壁)
その容量とは主に544MB、4.5GB、8.4GB、33.8GB等がありますが、今回の自分のモデル(PC-9821 V200S7D2)では8.4GBの様です。
これを聞くと、今時そんな極小容量のHDDの入手はかなり困難なのではないかと思われるかも知れませんが、(後述しますが)実は世の中にはHDDの最大容量のパラメータを変更し見かけ上容量を変更するというソフトが存在し、それを使う事によりその問題は解決できます。(いわゆる”HDDクリッピング”と呼ばれる作業です。)
HDDを準備・容量改変する
って事で、今回はあらかじめ所持していたIBMのIDE HDDを準備しました。容量は80GB。
このHDDは以前にPS2のネットワークアダプタを使用してバックアップ起動をするという記事を書く際にフリマサイトで予備で購入していたものの一つですが、まさかここで役に立つとは。
では、いよいよ容量を改変して98で使用出来るようにしていきましょう。
↓なお、今回の容量変更の改造手順は以下のサイト様が詳しいので大変参考になります。
(↑PokuG stdio.h様のサイト)
上記のサイト様でも紹介されていますが、容量変更で使用するのは”ICC”というソフトです。(後で気付きましたが現在は”ICCfix“と呼ばれる改良版ソフトもあるようです。)
*なお今回はICCをあらかじめFDの起動ディスクに導入してあります。
HDDを98本体に一旦スレーブ設定に変更して接続します。(容量変更前にマスター設定で繋いでしまうと起動時にフリーズしてしまうため)
FDからMS-DOSを起動してコマンドで
”icc -d1”
とコマンドを打ち、”>”の後に変更したい希望の容量をMB単位で指定します。(オプションのd1の”1”はここでは”プライマリ-スレーブ”接続しているという意味。)
自分の機種は8.4GBまで認識できる機種なので”8000”位で良いと思います。(今後、このHDDを他のPC-9821シリーズで流用するかも知れないという方は汎用性を考えて上記の写真のように3800位(約4GB)で指定しても良いかと思います。)
って、事でこの80GBハードディスクは20分の1の容量の4GB相当のハードディスクになりました。
普通に考えればわざわざ容量を減らすこの行為は正気の沙汰では無いですが、まぁ仕方ありませんねw
容量改変後は一旦電源を落とし、HDDのジャンパー設定をマスターに戻しておきましょう。
HDDの初期設定
容量変更後はMS-DOSの”diskinit”コマンドでHDDが認識出来るようになるので指示に従って98専用のHDDにするために初期化しましょう。
まぁ、一種の儀式みたいなものですね。
続いて、”fdisk”コマンドでパーティション領域の作成をしましょう。詳細は割愛しますが使用する領域は”アクティブ可”、システム起動用に設定する領域は”BOOT可”にしておきます。
後は再起動後に”format”コマンドで先ほど作成した領域をフォーマットすればもう98で利用できる立派なHDDになります。後は好きなOSをインストールして楽しんでいきましょう。
Windows98をインストールしてみる
とりあえず試しにWindows98をインストールしてみました。
起動音といい、何かと懐かしい画面ですねぇ。まぁ、個人的にはWindows98はエミュレータでたまに使用する事があるのですが、やはり実機で操作するのは感慨深いです。
ありがたい事にこの機種にはLANボードが増設されていたので、折角なので少しだけインターネットに繋いでみましょう。
最近はセキュリティ上、昔のSSL非対応のブラウザではほとんどのサイトを表示する事が出来ませんが、あの阿部寛さんのサイトだけはしっかり繋がります。表示も高速。この”いつでもどんな古いPCでも阿部寛さんと繋がれるという安心感”が阿部さんの懐の深さを感じられ非常に好感が持てますよね。
もちろんブックマーク登録&トップページ表示設定も完了したので、このPCはいずれは阿部寛さんの情報収集専用PCにしてやるつもりです。それがPCにとっても本望でしょう。
後は、後日気が向いたらPC-98専用のDOSゲームでも遊んでみましょうかね。FM音源が無いのが少し寂しいですが・・・・。その際はまた記事にしようかな。
って事で、今回はここまで。では、また。
追記:HDD変換アダプタ
実はHDDを準備する際、SATA版のHDDを用意し、SATA→IDE変換アダプタを使用して搭載する方法も考えていたのですが、この手のアダプタは相性問題が結構あるらしく、自分の環境ではうまくHDDを認識してくれませんでした。
また、巷ではHDDの代わりにコンパクトフラッシュを利用し、CF→IDE変換アダプタを使用する改造方法が流行っている様ですが、Web上で有識者の方の見解を拝見した所、この方法は耐久性や速度的な問題を始め、致命的なのはCFリセットと呼ばれる現象が高確率で発生しデータが吹き飛ぶ可能性があるらしいので今回は採用しませんでした。この改造方法を考えられている方はご注意ください。