後期型ファミコンをUSB電源化してみた

ファミコンの電源供給問題

今回はちょくちょく公開しているファミコンネタです。

先日、職場の人から頂いた後期型ファミコンを塗装したりサクッとコンポジット化を行い時々遊んでいたのですが、やはり面倒なのは電源供給。

デカくて重い専用のACアダプタをいちいち引っ張り出すのも面倒ですので、以前に紹介した昇圧DC/DCコンバータを使って手軽なUSBから電源供給を行う方法を紹介した事もありますが、これも実は後述しますが内部的には無駄が多い方法でした。

↓それらの記事はコチラ

手軽なUSB給電でファミコンをプレイしよう – 昇圧DC/DCコンバータ –

ファミコン内部は5Vで駆動している

単純にUSBから電源をファミコンに供給したいだけなら、前述した昇圧DC/DCコンバーターを使う方法でもいいのですが実はこの方法、かなり電力的に無駄が多いのです。その理由はファミコン内部の動作電圧。回路を見ればわかるのですが、ファミコンの純正ACアダプタの電圧は10Vですが、ファミコンに接続するとすぐに内部のレギュレータで5Vに減圧されて内部に供給されています。これはおそらく内部に安定した電圧を供給する為に、少し高めの電圧で入力して調整しているのだと思われます。

これが、前述の昇圧DC/DCコンバーターを使った方法だと更に複雑。USBからの入力電圧(5V)を昇圧DC/DCコンバーターで一度10Vに昇圧し、ファミコン内部のレギュレータでまた元の5Vに減圧するという作業を行っています。当然、電圧変換の際には電力のロスが生じますのでこれはやはり完全に無駄な作業と言えます。ちょっとエコじゃありませんね。

ここは直接USBケーブルからダイレクトに本体に電源供給を行いたいところです。

内部回路を確認

そういう事なら、理屈は簡単。手軽なUSBからの5V電源をファミコン内部へ直接供給してやればよいのです。

ここで一度ファミコン(後期型)内部を改めて見ていきます。赤丸で囲んだ部分が電源/RFモジュールと呼ばれる部分です。

(注:この写真はあらかじめ以前に簡易コンポジット化改造をしているファミコンなので一部白いテープが貼られていたり、銅線が張り巡らされていますがご了承下さい。)

電源/RFモジュレータ回路図(クリックで拡大)

この部分の回路図がコレ。(この回路図は”電子機器 Junker”様のサイトで公開されているPDFデータより抜粋させて頂いております。有益な情報に感謝。)

正確にはこの回路図は前期型のファミコンのものなので、今回の後期型ファミコンとは一部異なる面もある(電源スイッチ部分の有無等)と思いますが、ほぼ回路的にやっている事は同じと思われます。ざっくり説明するとこの部分の回路で10V→5Vへの電圧変換(回路上の”7805”のレギュレータ)と本体部から受信した画面・音声をRF出力(アナログ方式のTVアンテナ信号に変換)を行っているようです。

不要な電源/RFモジュールを取り除く

つまり、コンポジット化してRF出力も不要で、電源も5Vで直に入力するのであれば、この部分は丸々不要になります。

無駄な回路は余分な電力消費に繋がるので外していきましょう。

この部分は本体基板部と上記の赤丸で囲った部分でハンダ付けされて固定されています。

電動のハンダ吸い取り機があれば楽なのでしょうが持っていないので、ハンダ吸い取り線や、

スポイト型ハンダ吸い取り器(通称スッポン)で時間をかけてハンダを吸引していきます。これがなかなか大変。

20分位かけてどうにか電源/RFモジュール部分をキレイに取り外せました。

不要なUSBケーブルを加工して回路を作成

家に転がっていたUSBケーブル。プリンター接続などでよく使われていたA-Bタイプのものです。

最近のプリンタはWiFi接続が主流ですからこのケーブルはほとんど使わなくなりましたよね。

使わない方の端子を切り飛ばして、

内部のケーブルを剥きだします。複数のケーブルがありますが今回は電源供給のためだけに使用したいので

赤(電源プラス部)と黒(GND)の部分のケーブル以外は全てカットしてOKです。

(USB電源回路)

この赤・黒のケーブルを直接基板上にハンダ付けをしても良いのですが、自分の場合は気休め程度ですが少しでも安定したキレイな電源を供給する為に適当なユニバーサル基板上に1000μFの電解コンデンサを正極とGND間に挟んで作成しました。(いわゆるパスコンです。)これでUSB電源回路は完成。

(ネット情報によってはコンデンサの数を増やしたり、本体のスイッチ部分をこの回路の直前に移設しチャタリング(物理的なスイッチをON・OFFにした時に生じるノイズ)を抑制して、バッテリーバックアップ採用のゲームのセーブデータになるべく悪影響を与えないように工夫しているものも見受けられますが、今回はそこまでは行っていません。)

本体に各回路を組み込む

 

ここで電源/RFモジュールを取り外した本体の外観はこんな感じ。後部にかなりのスペースの余裕が出来ます。

(今回は見送りましたが、ここにモバイルバッテリーや電源投入時にLED等を光らせる回路等を組み込んでみても面白いかもしれません。)

ここに、先ほどのUSBケーブルを使用した回路と、

(コンポジット化回路)

今回は説明を省きましたが、前から使用していたコンポジット化回路を組み込みます。

↓別個体ですが、コンポジット化に関する過去の参考記事はコチラ

今更ながらファミコンにコンポジット端子を付けてみた

 

また、今回は面倒なので行いませんでしたが、本来は先ほどのUSB電源回路とコンポジット化回路を別基板にせず、同一基板上で作成したほうがスッキリするとは思います。

それぞれの回路からの配線は

このような感じです。

ここで注意ですが、電源/RFモジュールを外していない時は音声信号は映像信号のすぐ右横のパターンから取れましたが、外した後はそこからは信号が取れないので上記の位置から取るようにしてください。

音声部のハンダ部分は接点が小さく外れやすいのでハンダ付けした後、紙テープ等を貼って保護しておきましょう。

外部へ出す各ケーブルは1P側のコントローラーケーブルの隙間から出すようにしました。

組み立てて後ろから見るとこんな感じ。

実際に遊んで見る

完成したので早速このファミコンで遊んで見ましたが、特に問題はなく快適に遊べました。(使用するUSBモバイル電源やUSBアダプタは念のため1A以上出力可能なのものが良いかと思います。)

気になっていたバッテリーバックアップを採用したゲーム(ドラクエ3等)も、何度かテストプレイをしてみましたが、幸いなことに自分の環境ではセーブデータが消えたりすることなく問題なく稼働しています。(ゲームプレイ中にわざと電源を途中で入切する等少々乱暴なテストもしましたがセーブデータは無事でした)

USB電源化&コンポジット化によるメリット

今回の改造には様々な恩恵があります。いくつか挙げてみましょう。

1、省電力化

ネット情報によるとファミコン本来の消費電力は4Wなのですが、今回の改造で不要な電源/RFモジュールを外したことにより消費電力はおよそ半分の2W相当になるそうです。初期状態でもかなり省電力ですが、さらにその半分とは素晴らしい。

また、このメリットはコンセントで使用する時というよりも、USBモバイル電源等での使用時に動作可能時間にかなりの差が出ると思います。

2、軽量化

不要な電源/RFモジュールを取り除いたという事はその分本体の軽量化にもなっています。詳しく量っていませんが感覚的に2~3割軽くなった感じです。

3、利便性の向上

現在ではかなり普及しているUSB端子による給電に変更したことで、電源供給手段がお手軽になります。今時どこの家にもスマホなどで使用しているUSB変換アダプタが数個は転がっているでしょうから困ることはまずないでしょう。

また、テレビに電力を供給できるUSB端子があれば、そこから電源を取ることも出来るので余分なコンセントが不要でテレビとの接続が各段にスッキリすると思います。

4、テレビへの接続が簡単

これはコンポジット化に関してですが、本来のRF接続だと昔のアナログテレビを用意しなければなりませんが、コンポジット接続だと現在のテレビでも比較的端子がある事が多いです。最新型テレビだと、コンポジット端子は減少傾向にありますが、それでもまだまだ普及している方の端子だと思われます。

また、当然RF出力よりは画質はキレイになります。

って事で、かなりファミコンライフが充実した感じになりました。まだまだ、このファミコンは大事に使っていこうと思います。

ではまた。

 

*今回の改造を真似する方は自己責任でお願いします。私Naokitはファミコンの内部回路について高度な知識を有している訳ではありませんので、もしかしたら回路の安全上どこか間違えている部分があるかもしれません。真似される方は、その点を理解したうえで判断をお願いいたします。また、”こうした方がもっと良いよ”等のアドバイスがあればコメント等でご教授いただけると幸いです。

Author: Naokit

1 thought on “後期型ファミコンをUSB電源化してみた

  1. 始めまして、こちらの記事を参考にしつつネット上の文献を漁って自分も後期型に同じような改造を施したのですが、記事中にある「基盤を外したら音声信号取れない」となっている部分、基盤のパターン的には記事中で信号を取っている箇所と導通してました。

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