ノートPCが自然変形?
これは家族が使用しているノートPC。2012年当時、13.3インチで世界最軽量(875g)を誇っていたNECのノートパソコンLavie Zシリーズの”PC-LZ550HS”です。
使用者の趣味で各所にシールが貼られている以外は、一見何の変哲もないように見えますが、
なんと、裏面のボトムカバー部がボッコボッコになっています!
ただ、外見上はひどい状態ですが、使用上に不具合はなくWindowsも問題なく起動・動作します。
なぜボッコボッコに?
使用者によると最近は使用する機会もほとんどなく押し入れでしばらく保管しておいたのですが、ある日久々に使おうと思って取り出したところこのような悲惨な状態になっていたとの事。
側面から見た状態。自分は何台もノートPCを利用してきましたが、ここまでボトムカバーが変形したノートPCは見たことがありません。
このような変形だとまず原因として疑われるのが、なんらかの熱による変形。当時の世界最軽量という事で最先端の技術で薄型化もしていたと思われますが、それにより廃熱処理に問題があった可能性も疑われます。
早速分解してみる
裏面のシールをはがすと上図のようなネジがいくつかありますので、そのネジを外し分解していきます。
ボトムカバーを外しました。変形の酷いボトムカバー側に比べ内部基板側は全く問題なさそうです。前述もしましたがWindowsの起動も問題ありません。
内部の熱でボトムカバーが変形したと仮定すると、それだけの熱量があったにしては基板側に焦げや溶解した部品等もなくこの仮定は否定せざるを得ません。
何か別の要因がありそうです。
原因は熱ではないのか?
この機種を使用している方で、同じ様な症例はないかググってみたところ検索結果に驚愕。
ネット上の画像検索で同機種使用のユーザーさんの同症状の報告例が多数見つかりました。
価格COMの口コミ情報でも同一症状の報告例が多数出ていました。
調べてみると、どうやらこの機種のボトムカバー部は軽くて非常に丈夫な”マグネシウムリチウム合金”というものが使われているのですが、欠点としてこの合金は耐腐食加工が甘いと経年劣化でLi(リチウム)が活性化し腐食変形を起こしやすい特性を持っているようです。つまり、熱による変形では無く、この合金の持病のようなものですね。
結構多くの報告例が出ているようですが、NEC側ではこの症例に関して認知していないのか、リコール情報等は出ていないようです。そもそも現在では修理サポートも終わっている機種の様なので今後のサポートは残念ながら絶望的でしょう。
ダメ元でアイロンプレスしてみるw
ここからは完全に私Naokit個人の興味本位での実験です。
先ほどこの変形は熱による変形では無いと書きましたが、もしかしたら”そうは言っても実は案外、高熱でプレスしたら直るんじゃね?”という探求心が沸いたので、
アイロンを用意して実験してみましょうw(もちろん。家族の使用者に実験の許可は取っています。)
当てのタオルを挟んで温度設定”高”で熱を加えて上から体重をかけ数分間押し付けてみます。
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結果、案の定変化なし。全くと言って良い程変化はありませんでした。
これだけアイロンで高温部を表面に当てても変形しないので、やはり今回のこの症例は熱によるものではない事も実証されました。やはり腐食による化学変化によるもので間違いないと思われます。(専門家ではないのであくまで個人的な見解ですが。)
写真を撮り忘れましたが、この行為によりむしろ表面に小さな気泡のようなものが多数できて表面の加工を痛めてしまいました。これによりさらに腐食を速めてしまう可能性もありますので、同機種をお持ちの方は私が人柱となって検証済みですので、真似しないほうが良いと思われます(笑)。
・・・・って事で、今回は修理失敗です。残念ですが、とりあえずボッコボッコのボトムカバーを元に戻しておきました。
まぁ、パソコン自体は問題なく動作するのでそのうちジャンク品などで同機種のボトムカバー部をどこかで入手したら入れ替えてもよいですし、プラバンなどでボトムカバーを自作しても良いかもしれませんね。
ではまた。
※↓追記 約2年後ボトムカバー自作しています