ザウルスポケットの液晶を直してみた – MI-110M –

古い液晶定番の黒ずみ

今は、iOSやAndroid等の機器ばかり使っている私Naokitですが、古くはシャープの電子手帳(PA-8500)から始まり、ザウルスシリーズを経て、Palm OS等も愛用してました。

そんな中、今回のターゲットは押し入れ奥から出て来たコイツです。シャープの多機能PDA、ザウルスポケット”MI-110M”です。定価は83000円でしたが、自分は20000円位で投げ売り価格になっていた頃に購入し2000年初頭頃までメイン機として使っていました。

フタを開けてみると、古い液晶機器の故障定番の黒ずみ(ビネガーシンドローム)が発生しています。かすかにビネガー臭が鼻をつきます。画面もほとんど見えません。

以前にも、このブログでゲームウォッチワンダースワン等のゲーム機で同症状で修理をしたので今回はコイツを直してやります。

PDAの元祖ザウルス

このザウルスポケット当時としてはかなり高機能。様々な機能が当時のガジェット好き野郎の目を引きます。ちょっと紹介してみましょう。

まずは、本体左上部にモデムポートがあります。なんとここに電話線を繋いでインターネットやメールの送受信、そしてFAXの送受信等ができます。えっ?WiFi ?、そんなものは当時ありません。男は黙ってダイヤルアップ接続&従量制課金です。

また、標準でWordやExcelと互換性のあるワープロや表計算、データベースソフトも内蔵しており、特に表計算ソフトが持ち歩けるのは当時としてはかなり便利でした。

ちなみに、当時上位機種でパワーザウルスというシリーズも出ており、カラー液晶やカメラ内蔵等夢の様なマシンでしたが確か15万円以上だったため手は出せず憧れのマシンでした。

上部にはオプションポート。結構な数の周辺機器が出ていたと思います。

自分はPCとの接続のための専用ケーブルをバカ高い値段で買った気がします。

左部には赤外線ポートとキーボードコネクタ。赤外線ポートは古い機器からのデータ引き継ぎ時に重宝しました。

右部には懐かしコンパクトフラッシュカードスロットが。当時は出始めのデジカメ等でも良く使用されていましたね。当時は大容量だった”32MB”のカードを入れて優越感に浸っていましたね。

分解していく

では、分解していきましょう。裏面にあるネジ5か所を外していきます。そのうち1つは電池カバーを外した場所にありました。

サクッとカバーを外します。

液晶部を持ち上げると下にフラットケーブルがあるのでラッチを持ち上げてから外します。

液晶部のみ取り外しました。

次は表面のタッチパネル部分を外してやりましょう。

液晶部の裏面の左下にタッチパネル部のフラットケーブルがネジで止められています。

そのネジを外すと表面のタッチパネル部を取り外せます。タッチパネル部を剥がすときは両面テープで固定されているので、タッチパネルを割らないようにゆっくり剥がしていきましょう。

古い偏光板を外し、接着剤を磨き取っていく

次に液晶表面の偏光板をゆっくりと剥がしていきます。この時点でビネガー臭がMAX状態になります。ツンとくる臭いなので苦手な人はマスクした方が良いかも知れません。

偏光板を外したものの表面に偏光板の接着剤が大量に残ってしまいました。コイツを取り除かなければ黒ずみは取れません。

ここからがかなり大変。アルコールジェルを付けて少しずつ接着剤を磨き取っていくのですが、コイツは以前直したゲーム機と違って液晶も大きめなのと、接着剤が特殊なのかなかなか取れない。

液晶を割らないように細心の注意を払いながら、1時間半程でどうにかここまで磨き上げました。

毎回この作業は苦行です。その分キレイになった時の達成感は心地よいです。

新しい偏光板の取り付け

ここでゲームウォッチやワンダースワンを直した時にも使用した偏光板を準備します。

偏光板は、様々なゲーム機や時計等、モノクロ液晶を使用する機器の修理で多用するので何枚か持っておくと便利です。反射が抑えられ視認性が良くなるので撮影時にスマホ等のカメラレンズ部に取り付けてもいいと思います。

毎度の事ですが偏光板の向きを変えると液晶の色が変化するのは見ていて面白いです。

あと、この偏光板だとオリジナルの画面よりかなり黄色がかったファンキーな色合いになりましたが、これは取り付け角度の問題もあるのでしょうがありませんね。

仮組みして表示テスト。うまく表示されています。

後は偏光板を適当な大きさにカットして固定します。ちなみに今回の偏光板は液晶より若干幅が小さかったのですが、幸い液晶の最大表示範囲ギリギリには収まるので使用上は問題ないです。

組み上げて動作テスト

逆の手順で組み上げていきます。先述したように色味はやや気になりますが、画面自体はバッチリキレイに表示されるようになりました。

タッチパネル操作も問題ありません。無事成功です~。

今となってはスマートフォン全盛の時代なので今後この機種を積極的に使う事は無いでしょうが、自分の若かりし頃の思い出の機種でもありますし、FAX機能なんかはもしかしたら面白がって使う機会もあるかも知れませんので大事にコレクションとして保管しておこうと思います。

Author: Naokit

3 thoughts on “ザウルスポケットの液晶を直してみた – MI-110M –

  1. 同じ状態ですが、自分で治す自信がありません。そちらで直して頂けるのでしょうか? その場合、材料費・修理費など合計おいくらかかりますか?

    1. コメント有難うございます。修理依頼を頂けるのは非常に光栄なのですが、これらの作業は素人の私が自己責任であくまで個人的な趣味として行っているものです。人様の大事な修理品をお預かりして直すなどという行為は、万が一の時に素人の私ではとても責任はとれませんのでご要望にはお答え致しかねる次第でございます。申し訳ございませんが、ご了承頂けますようお願い申し上げます。

  2. 同一機種、同一症状のザウルスポケットを所持しています。液晶パネルの交換が必要かと考えて検索したら、こちらの記事を見つけました。記事を参考に修理してみます。

    現代のスマホは高性能で便利ですが、電池の劣化や通信方式の変更のために、製品寿命が短いのが難点ですよね。SDGsの観点からも、乾電池で動作するPDAは大切に使いたいものです。

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