低速なナローバンドを疑似体験してみる

昔の通信回線は貧弱

個人用インターネット回線において、今でこそ数百Mbpsの通信速度は当たり前の時代になりましたが、自分が大学生の頃は現在主流の光回線は個人向けでは当然普及しておらず、ADSL回線すらまだ普及していない時代でした。

当時のインターネットと言えば、アナログ回線にアナログモデムというデジタル信号を音声信号に変換する機器を使い最高速度はなんと56kbpsちょっと大きな画像を一枚開くだけでも数分かかるような低速通信です。しかも56kbpsの通信規格は2つ存在しており(x2規格とK56Flex)、プロバイダ側の対応状況によって適切な規格のモデムを選ばないと最高速度で通信できないという不便さでした。また、”フレッツ”のような定額通信サービスはまだ存在しておらず、通信時間に応じて電話代がかかるため、日中はインターネットの利用は控え、テレホーダイ(夜11時から朝8時まで電話かけ放題)というサービスを利用して真夜中にインターネット集中的に楽しむという状況でした。

後にISDNを経てブロードバンドであるADSLのサービスが開始され初めて利用した時には、通信速度の劇的な向上に驚き、ファミコンからいきなりプレステを与えられた子供のような衝撃を受けたのを今でも覚えています。

低速通信の設定をしてみる

さて、昔話は一旦置いておいて、ここからはその不便な時代のインターネット環境を興味本位で疑似体験してみたいと思います。また、スマホ等で通信量超過で速度制限がかかった時の参考になるかと思いますので興味のある方は気軽に試してみても良いと思います。

使用するのはWindowsの標準搭載ブラウザである”Edge”。他のブラウザでも同様の設定は出来ると思いますが今回はコチラを紹介します。

(以下の各画像はクリックで拡大表示しますので真似する方は参考にどうぞ。)

まずブラウザを開いたら、

右上のメニューの ”・・・” を押下し、「その他のツール」→「開発者ツール」を選択します。

ブラウザの画面内の右側に分割されたウィンドウが開くので上部の無線LANのような扇形のマークを押下します。

 

「ネットワーク調整」の”調整なし”を押下。

あらかじめモバイル回線の4G回線や3G回線相当のプリセット項目がありますが、ここでは任意の速度に設定したいので”追加”を選択。

今回はモバイル回線で通信速度制限がかかった時によくある”128kbps”の速度制限で設定してみます。

まぁ、これでもアナログ回線時代最速の56kbpsの2倍以上の速度なんですよね。

設定入力後”追加”ボタンを押すと、

ネットワーク調整メニューの項目内に先ほど作成した128kbpsが追加されていますのでそれを選択。

これで設定を戻さない限り、以降のEdge上でそのタブ上のウィンドウの通信速度は制限された状態で動作する様になります。(別タブ上ではこの設定は反映されません)

ちなみに、”キャッシュを無効にする”を選択しておけば、デバイス上の一度開いたページのキャッシュデータを使用しないので、よりリアルな速度体験が出来ると思います。

ちなみに自分の場合は後でいろいろ試したいため、複数の数値を速度制限の項目に追加して切り替えて使用しています。

ナローバンドを体験してみる

設定が完了したら、低速なナローバンド環境を体験してみましょう。

まずは通信速度測定サイトでチェック。はい、大体設定どおりの速度(128kbs ≒ 0.13Mbps)になってますね。

・Webページ閲覧

とりあえず自分のサイトを閲覧。

うーん、確かに遅い。いつもなら数秒ですが、今回は読込完了までに約1分程かかりましたサムネイル画像等も少しづつ表示される感じです。そういや、昔はこんな感じだったなぁ。

・動画視聴(YouTube)

(↑ゲーム芸人フジタさんの動画より)

YouTubeは予想通り再生不可ですね。トップページを開くだけでも2分以上かかりました。動画再生は最低画質(144p)にしても数秒おきにグルグルと読み込み中画面になってまともに通信できません。

・radiko

まず、ページを開くのに5分以上かかりました。

動画がだめなら音声データだけならどうにかなるかと思いましたが、意外な事に先ほどのYouTubeの動画再生よりかなり重い感じで再生開始ボタンを押下後、数分ほど無音状態が続きその後やっと再生が始まった感じでした。ただ、一度再生が始まるとその後は数分聴いていていましたが、途切れる事はありませんでした。

・例のサイト

こういう時に必ず話題になる阿部寛さんのページは、約3秒で読込完了。さすが、極限まで無駄を省いたストイックなページはナローバンド回線にも非常に優しい仕様。阿部さんの最新情報をストレスなく快適に閲覧できます。この姿勢はある意味”SDGs”の思想に通ずるところがありますね。

今の環境に感謝

今回、古(いにしえ)の通信回線環境を体験してみて、今の高速な回線の素晴らしさ・快適さを改めて実感しました。黎明期では単純なテキストや簡易な画像のみしかまともに表示できなかったあの時代が、今や通信速度及びパソコンの性能の劇的な向上で続々と新しいサービスが登場してより便利で快適な世界になりました。今後NTTが光半導体を用いて、より劇的に高速な通信技術であるIOWN構想計画を進めていますが、それがもし標準化されれば、世界ではまた新しいサービスが続々と登場するんでしょうね。そんな近未来がとても楽しみです。

って事で、今回はここまで。では、また。

Author: Naokit

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.